自分で撮りたいネットショップオーナーのための、商品写真撮影Webセミナー
「蕎麦(そば)」の撮影
キービジュアルとなる商品写真の撮影
5)撮影
まず、撮影用照明の光のあたり方を確認し、蕎麦が美味しそうに見えるような位置を探して微調整を行います。(当然ですが、肉眼で確認するのではなく、デジタルカメラのモニター上でどう見えるかを確認しなくてはなりません。)
撮影用照明は蕎麦の斜め左奥
撮影用照明は蕎麦の後ろ奥
撮影用照明は蕎麦の斜め右奥
蕎麦の表面に、適度な光沢ができるような位置を探して照らすのがポイントです。表面の光沢は、“瑞々しさ”を伝える効果があります。
次は、レフ板の調整です。
特に、箸に引っ掛けた蕎麦の写り方が重要なので、手前側が暗くなり過ぎないように、レフ板を置く位置と蕎麦からの距離を変えてみながら、見え方をしっかりと確認して位置決めをして下さい。
レフ板なし
やや離れたところにレフ板
すぐ近くにレフ板
ここまでできたら、露出補正の最終確認です。試しにシャッターを押してみて、写真全体の明るさを確認してみます。暗過ぎる、あるいは、明る過ぎると思う場合は、必要に応じて露出補正を行います。
※最終的には、「ちょうどいいだろう」と思う露出で撮影するだけでなく、それよりもやや明るく調整した写真、やや暗くした写真と、露出を変えた写真を3枚程度撮影おきます。そうすることで、パソコンのディスプレイで表示したときに、最も良いものを選択できることになるからです。
準備完了、さあ、撮影です。 と、なるところですが、もうひと手間。
慣れていれば、ここまでの作業を効率良く行って、短時間で準備完了とできるでしょう。でも、慣れないと、やはり相応の時間を必要としてしまいます。その間に、蕎麦の表面が乾いてしまっていないでしょうか?
パサパサした感じの蕎麦の写真では、美味しそうなんて思ってはもらえません。
そこで、蕎麦の表面に水分補給をしてあげましょう。
小さな霧吹き(アトマイザー)に水を入れて用意しておき、それを蕎麦の表面に軽く吹き付けると、表面の瑞々しさがよみがえります。 ※ちなみに、プロの撮影現場では、サラダ油などを筆で蕎麦の表面に塗りつけて、つややかさを表現することもあるようです。
さて、そうして撮影した写真がこれです。
デジタルカメラ:Canon PowerShot SX230 HS(コンパクトタイプ)
ISO:400 / 露出補正:±0 / ホワイトバランス:オート
絞り値:F5.6 / シャッター速度:自動
画像加工:明るさとコントラストの微調整
撮影用照明:RIFA(リファー)-F40×40cm 1台
どうでしょう、美味しそうに、蕎麦そのものの魅力が伝わる写真になっているでしょうか。
コンパクトタイプのデジタルカメラでも、考えるべきことを考え、行うべきことを行うと、このくらいの写真は撮れてしまうのです。
一眼レフなら、絞りを調整して背景のボケ加減も変えられるので、箸で持ち上げた蕎麦をさらに際立たせる写真にすることもできます。
デジタルカメラ:Canon EOS Kiss X4(一眼レフ)
ISO:400 / 露出補正:+0.7 / ホワイトバランス:オート
絞り値:F16 / シャッター速度:自動
※望遠レンズ(18mm~200mm)を使って、約2mくらいの距離から撮影しています。
画像加工:明るさとコントラストの微調整
撮影用照明:RIFA(リファー)-F40×40cm 1台
・アップで写す
・背景や小道具類などもしっかりと考える
・光のあて方
・盛り付け
これら、当たり前と言えば当たり前のことを、「優先すべきことは何か・なぜそうするのか」ということを考えた上で実践することで、魅力的な蕎麦の写真にすることができるのです。
4.料理として美味しそうに見せる
次は、温かい蕎麦を撮影してみます。
料理として美味しそうに見てもらえるように、一部分をアップで撮るのではなく、器も含めた全体像が写るような構図を考えて撮影します。
構図が変わること以外、アップで撮影する場合と同様の手順で準備作業を行うと考えて下さい。
最終的なセッティング状況はこのような状態です。
器の大きさや深さによって、デジタルカメラの距離や高さが変わる以外は、アップで撮影するときとほとんど違いがないことがわかります。
蕎麦を盛り付けて撮影する段階で、注意するポイントは、盛り付け方です。多くの場合は、天ぷらなど、蕎麦以外の具材が入ると思います。そのため、主役である蕎麦が見えなくなってしまうことのないように盛り付け方を考えなくてはなりません。
実際に目の前に料理を置いて食べる場合とは違って、デジタルカメラのモニターを見ながら「写真の写り方」だけを考えて盛り付けて調整します。
そうして盛り付けた蕎麦を、肉眼で見たときに違和感があってもまったく問題ありません。写真ではどう見えるか、それだけを考えたら良いのです。
また、蕎麦がつゆの中に沈んでしまう場合は、ざるなどを使って“底上げ”するというテクニックもあります。
今回は、器の中に小皿を2枚重ねて入れて、その上に蕎麦や具材を乗せて整えます。
手順としては、
器に小皿を入れる
→小皿の上に蕎麦を整えながら盛り付ける
→盛り付けが崩れないようにつゆを注ぎ込む
→具材を乗せて全体を整える
という順番になります。大きな器、あるいは、深い器を使いたいときには、役に立つテクニックです。
それでは、完成写真を見てみましょう。
デジタルカメラ:Canon PowerShot SX230 HS(コンパクトタイプ)
ISO:200 / 露出補正:-0.7 / ホワイトバランス:オート
絞り値:自動 / シャッター速度:自動
画像加工:明るさとコントラストの微調整
撮影用照明:RIFA(リファー)-F40×40cm 1台
アップで撮影した写真に比べると、上品な感じがします。高級感をアピールしたいときには、このような全体像を写すような構図の方が効果的かもしれませんね。
ちょっとアップにしてみるとどうでしょう。
デジタルカメラ:Canon PowerShot SX230 HS(コンパクトタイプ)
ISO:200 / 露出補正:-0.3 / ホワイトバランス:オート
絞り値:F5.9 / シャッター速度:自動
画像加工:明るさの微調整
撮影用照明:RIFA(リファー)-F40×40cm 1台
ほぼ全体を写すのか、ちょっとアップにしてみるのか、どちらが良いかは、好みによるところもありそうですが、天ぷらなどの具材を乗せた蕎麦を、料理として美味しそうに見せたい場合は、ドーンとアップで撮るよりも、全体像が見えるような構図の方が良さそうなのがわかります。
さて、最初の項目としては、かなり長くなってしまいましたが、冷たい蕎麦、温かい蕎麦、アップで撮るのか、全体像を撮るのか、撮り方見せ方の選択は、まずはキービジュアルとしてどんな写し方をしたら良いのかを考えて決める必要があります。
その上で、ここまで解説してきた撮影手順を実践していただきたいですが、キービジュアル用としてだけではなく、蕎麦を撮影する場合の基本的な考え方とその方法としても、参考にしてみて下さい。
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