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■撮影商品ジャンル
アクセサリー

「指輪(石なし)」の撮影

指輪のメイン商品写真作例
■撮影データ
デジタルカメラ:
Canon PowerShot  SX230  HS
露出補正:+1.0
ホワイトバランス:オート
シャッター速度:1/125秒
絞り値:f4
ISO:200
画像加工:
明るさの微調整とトリミング
撮影用照明:RIFA-F40x40cm1台
撮影所要時間:約7分
■撮影用照明を
使用しない場合の作例
指輪の撮影用照明を使わない場合の商品写真作例
■撮影のポイント
  商品がとても小さい上に、デザインが複雑なものもあり、撮影の難易度がとても高い商品と言えます。プロと同様のクォリティーの商品写真を目指すのなら、相応の時間と道具を必要としてしまうのが、アクセサリー類の撮影です。しかし、必要とされるだけの、時間や道具への投資を許されるケースは稀でしょう。
では、少ない時間と道具だけで良い結果を得るためにはどうするか、そのためには、「置き方(見せ方)」を工夫することが重要なポイントのひとつとなります。
まずは、ユーザーがパッと見たときに印象的に見えるかどうか、そんな置き方を考えてみることからスタートです。

セッティング

■置き方の工夫…その1
透明なアクリルを使って商品を浮かす
  ご存じでない方は、ぜひ試してみて下さい。
  カメラや照明以外で用意する物は
・10~20cmくらいの高さのある箱を二つ
・背景として使いたい色のついた光沢のある布
・透明なアクリル板
・グルーガン(どんなものかは後述します)
上記それぞれの役目を解説しつつ説明を進めます。

1)まず、箱二つを、20~25cmくらいの間を空けて置きます。これがアクリル板を乗せる台になります。
ティッシュの箱を二つ置いた画像
2)そこに、背景として用意した布をセットします。台になる箱が隠れるようにし、きちんと延ばして置くのではなく、適度な "シワ" というか "波" を作るようにすと、背景として写ったときにほど良いアクセントとなります。
  今回は、水色のサテンの布を用意しましたが、サテンにこだわる必要はありません。ただ、光沢がある布の方が、輝きを表現したいアクセサリー類の撮影には、適しているのではないかと思います。(布の大きさは50x50cm程度あれば十分です。)
水色の布を置いた画像
3)下地のセッティングができたら、そこにアクリル板を乗せます。指輪の撮影だけを考えるなら、アクリル板の大きさは、幅が30cm、奥行きが20cm程度あれば十分でしょう。ただし、あまり薄い板だと、歪んでしまって平らになりませんので、3mm程度の厚さのあるものを用意して下さい。(ネックレスなどの撮影にも使用する場合は、大きさを相応の物にする必要があります。)
透明なアクリル板を置いた画像
4)最後に、「グルーガン」という道具を使って、指輪をセッティングします。
  グルーガンというのは、手芸用品店などで販売されている、接着用の道具なのですが、指輪の撮影が多い場合は、用意しておくと便利です。
グルーガンの画像
【グルーガン】
手芸用品店やホームセンター、もちろんインターネットでも千円くらいで購入できます。(大きさがいろいろありますが、小型サイズがおすすめ)
  グル―スティックという棒状の樹脂を電気熱で溶かして、接着剤とするのですが、金属やガラス、アクリルなどに着けても、ほとんど痕を残さずはがすことができます。
溶けた樹脂を指輪に着けている画像溶けたグル―スティックを
少し指輪に着ける。
指輪をアクリル板に立てた画像アクリル板の上に
指輪を立てられます。
接着剤の痕がと凝らずはがせる説明画像痕を残さず
きれいにはがせます。
  指輪のように軽いものだと、少量でも接着できるので、接着していることがあまり目立たず、指輪を立てて置くことも可能になります。普通ではできない置き方ができるようになるので、見せ方のバリエーションを広げられる、とても便利な道具として活用できます。

  透明なアクリル板を使用したセッティングは、商品の下に空間があるので、立体物を背景として使うこともできるので、いろいろな見せ方が可能となり、アクセサリーなどの撮影では、多用されている手法です。
指輪の商品写真例1
指輪の商品写真例2

■置き方の工夫…その2
布などの上に、直接、商品を立てて置く
  アクリル板と違って、やわらかい布の上などに指輪を立てるのは無理な気がしますが、簡単な工夫で可能になります。

1)5cm程度の厚みのある箱を用意し、その上に背景となる布を置きます。
高さ5cmくらいの箱の画像
箱の上にフェイクファーの布をかぶせた画像
2)小さな釘を、布の上から突き刺します。下に箱があるので、無理な力を加えなければ、ぐらついたりせずに固定で きます。
布の上から釘を刺した画像
3)釘の頭のお皿の部分にグルーガンを使って指輪を固定したら、釘が見えないところまで、差し込んで準備完了です。
釘の頭に指輪を固定した画像
釘が見えないように布に埋め込んだ画像

  こういった置き方ができることを知っておけば、背景として利用できる道具も増えるのではないでしょうか。
フェイクファーの上に指輪が立っている商品写真
綿の上に指輪が立っている商品写真
サテンの布の上に指輪が立っている商品写真
■置き方の工夫…その3
切り抜きのようで、切り抜きではない、真っ白な背景
  指輪だけを見せたい場合、切り抜きを考えるのが基本ですが、複雑な形状をした商品の切り抜き作業は、とても手間が掛ります。
  そこで、切り抜くことなく、真っ白な背景で商品だけを見てもらえるようなセッティングについて説明します。

  撮影用の照明以外で用意する物は
・30cmくらいの高さのある箱を二つ
・乳白色のなアクリル板
・卓上用のスタンドライト

1)箱とアクリル板のセッティングは、透明なアクリル板のときと同じような感じですが、ただ、今回は、アクリル板と撮影台となる机との距離(空間)を30cm程度確保します。
30cmくらいの高さの箱を橋げたのように置いて、乳白色のアクリル板を乗せた画像
2)次に、卓上用のスタンドライトをアクリル板の下から光をあてるようにセッティングします。
アクリル板の下から、卓上用スタンドライトで光を当てている画像
3)アクリル板の上に商品を置いて、商品自体は、撮影用の照明で上から照らします。これで準備完了。
撮影用の照明を追加してセッティングした画像
  乳白色のアクリル板自体を、ライトで照らして明るくするので、背景を、ほぼ真っ白にすることができます。
切り抜きのように撮れた指輪の商品写真
  ただし、デジタルカメラの「露出補正(ろしゅつほせい)」と、上下の照明それぞれの距離を丁寧に調整して、写真全体の明るさと商品の見え方とのバランスがちょうど良くなるようにすることが必要になりますので、前述したふたつの方法に比べると、撮影作業に手間が掛るかもしれません。


  ここまで解説してきたような方法があることを知って、ファッション雑誌のアクセサリーの広告写真などを見ると、自分でもできる置き方のアイデアがたくさん見つけられるはずです。
  指輪などのアクセサリーは、商品自体を美しく撮ることが理想ですが、そのために必要な時間と道具への投資が難しい場合は、置き方や背景の工夫で印象度を高めることを考えることが大切です。

指輪の撮影に必要な基本的な道具

  「見せ方」という観点から、指輪を撮影する際に用意しておくと便利な道具は、前述したとおりとなりますが、指輪そのものをキレイに撮影するために必要な道具についてはどうでしょう。

1)撮影用照明
  アクセサリー類を継続的に撮影し続ける場合は、1台(1セット)は、必ず用意しておくことをおすすめせざるを得ません。
  指輪などの貴金属を美しく見せる最大のポイントは、きれいな「写り込み」を作ることに他ならないからです。指輪の輝きを伝えるのも、質感を伝えるのも、きれいな写り込みが作れているかどうかに掛かっていると言ってもよいでしょう。さらには、細かなデザインを写真で伝えるためにも、写り込みが影響します。
  そのため、商品を照らす位置や角度を簡単に調整できる構造を持ち、なおかつ、商品が部分的に見苦しく光ってしまったりすることがないように、適度な大きさの面積で光をあてることができる、撮影用照明が必須となるのです。
商品写真撮影用照明RIFA-F40×40cmの画像
※アクセサリーの撮影に適した大きさと
可動性能を持った商品写真撮影用照明
「RIFA(リファー)-F40×40cm」

2)小さなレフ板
  これもまた、写り込み対策用です。
  ただ、通常、商品写真撮影に使うレフ板は、A4サイズくらいが実用的ですが、指輪の場合、それでは大き過ぎると感じることが多々あります。
  はがきを二つ折りにしたり、名刺サイズの用紙を二つ折りにするなど、小さい方が使い勝手が良く、写り込みの調整がスムースにできることが多いです。
  指輪など、小さな商品の写り込みを調整する場合は、レフ板も小さなものを複数用意しておくことをおすすめします。
小さなレフ板の画像

ライティングと写り込みへの対処

■アクセサリーのライティングは「個別対応」
  商品ごとに「個別対応」をしなくてはならないことが、指輪など、アクセサリー撮影の難易度を高くしている、最大の要因と言えます。

  全面に写り込みができてしまう上に、デザインが異なる・材質が異なる・大きさが異なる、更には置き方が違う、など、統一したパターンを求めること自体が不可能です。そのために、画一的なライティングという考え方ができず、それぞれの商品とその置き方に合わせて、照明やレフ板の位置を調整する「個別対応」を余儀なくされます。
  こればかりは、避けることができないので、実践の中で、感覚的に慣れて、その対処のコツをつかんでいくしかありません。
  それでも、可能な限りスムースにライティング作業をすすめるために、指輪などアクセサリーの撮影では、撮影用照明が大きな役割を果たすと言えるでしょう。
商品写真撮影用照明RIFA-F40×40cmを使った撮影状況の画像

■全面を白くするか、黒を残すか
  指輪の撮影をする際の、写り込みの調整ですが、「黒い部分を残すか残さないか」これがひとつの分岐点となります。
  文字だけではイメージしづらいでしょうから、下の作例を見て下さい。
  Aは、ほぼ全面が白い写り込みになっている写真で、Bは、あえて黒い部分を残した写真です。
ほぼ全面に白い写り込みを作った指輪の商品写真
黒い部分を残した指輪の商品写真
  商品全体を白い布で覆ったり、白いボックスのような撮影道具の中に入れて撮影すると、Aのような結果になることが多く、撮影用照明とレフ板を使って写り込みを調整する方法だと、Bのように、写り込みのない黒い部分を残すことができます。

  どちらが良いのか、商品写真の目的や好みの問題もあるとは思いますが、一般的には、Bの方が光沢感が伝わりやすいのではないかと思います。

  写真だけで素材の光沢感、つまり輝きを伝えるためには、全体を白くしてしまっては難しく、黒い部分があるからこそ、白い部分が際立って、輝いている印象にできるのではないでしょうか。

  絶対的な答えはわかりませんが、photo-zemi(フォトゼミ)は、Aのような写し方と比べて、少しくらい撮影作業に時間が掛かったとしても、指輪の輝きが伝わる商品写真にするためには、撮影用照明とレフ板を使った、Bの、黒い部分を残す(あえて作る)写し方が基本ではないか、と考えます。

応用アイデア

■人物を使った撮影
  指輪という商品の購入目的を考えたとき、必ずしも自分で自分用に購入するとは限らないのではないでしょうか。
  そう、「プレゼント」という目的です。その場合、購入者は男性であることが多く、購入目的は、プレゼントを贈る相手に喜んでもらうことです。
  そのとき、指輪の美しさや、デザインが分かりやすい商品写真ばかりを前面に押し出すような伝え方が、果たして効果的と言えるでしょうか。もしかしたら。本当に必要な写真は、プレゼントをもらった女性が喜んでいるシーンなのかもしれません。

  たとえば、こんなふうに。
人物を使った指輪の商品写真例
■撮影データ(人物)  デジタルカメラ:Canon EOS Kiss X4  露出補正:+1.7
ホワイトバランス:オート  シャッター速度:1/20秒  絞り値:f5.6  ISO:800
画像加工:明るさと、ぼかしの調整  撮影用照明:室内照明

  この写真(人物)は特別な照明などを使わずに撮影したものです。もちろん、モデルも素人です。そのため、写真の技術的な部分に注目して見るなら高品質とは言い難い出来栄えです。しかし、この写真が指輪の販売ページにあったとき、女性へのプレゼントを目的としたお客様の印象はどうでしょう。写真の技術的な出来栄えとは違うところで、何かを感じてもらえると期待できないでしょうか。(もちろん適切なキャッチコピーなども必要です。)

  商品の購入に結び付けやすくなってこそ、良い商品写真と言えるはずです。そのためには、商品を美しく見せることだけに頼るのではなく、お客様が望む目的を達してもらえることを伝えることの方が、はるかに重要度が高いのかもしれないと、気付いていただけたならうれしいです。

  特に、商品自体が美しさを持っている、指輪などのアクセサリーでは、その美しさを表現することに気持ちが集中してしまいがちですが、しっかりと、購入者と購入目的を考えて、その答えに合わせた、本当に必要な商品写真の在り方を見つけることを忘れないで下さい。
商品別撮影実践-「指輪(石なし)」の撮影
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