“一点から強い光を放つのではなく、広い発光面で、料理を包み込むように照らす”
これが、料理写真のライティングの基本です。
そのためには、卓上スタンドのように光源がむき出しになった照明ではなく、光をバランス良く拡散するように設計された、撮影用専用の照明が必要となるのです。
「面」の光は、料理の表面に滑らかで自然な光沢をつくり、瑞々しさが伝わる写真となります。
意外と感じられるかもしれませんが、料理写真のライティングの基本は“逆光”です。
さらに、完全な逆光ではなく、やや“逆光気味”に料理を照らすこと、これによって適度な陰影が生まれるのです。
陰影のない写真は平面的になり、料理の存在感(立体感)をアピールすることはできません。
「美味しそう」「食べてみたい」そんなふうに感じてもらえる料理写真にするためには、美しく自然な光沢に加え、実物を想像できる、適度な陰影がなくてはならないのです。
「光沢」のでき方、「陰影」のつき方は、撮影用照明の微妙な位置や向きによって、驚くほどの変化を見せてくれます。
だからこそ、撮影用の照明に何よりも求めなくてはならないものは、“優れた操作性”です。
例えば、「あとちょっと右側から」、この“ちょっと”で料理の表情は大きく変わるものなのです。
“あとちょっと”に気持ち良く応えることができる操作性を持った照明ならば、料理の最も美しい表情を容易に引き出すお手伝いをしてくれることでしょう。